代官山日乗

自覚さえすればどんな生活にだって深い意味が出来る。

「ブルックリン・フォリーズ / ポール・オースター」はどんな人が読むべきか?

30才、あるいは60才前後の人生に希望を失いつつある人 将来に期待せず、今に満足もできないある種の挫折を抱えた人たちが偶然の出会いからそれぞれの人生を動かしていく話です。ものすごく前向きにはならなくても偶然を待ってみようかなという気にはなると…

シュルレアリスムとは何か/巖谷 國士を読む

シュルレアリスムはシュール・レアリスムではない。 ここでいうシュールとは超と訳されるが、現実を超えたということではなく、強調の意味の「超」だ。ちょーすげー、のちょーと同じ使い方がされている。 ものすごい現実、それが時に目の前に現れてくるのを…

本屋の背骨

通販で本を買うのが好きではない。配達の時間に家にいなければならないことや、馬鹿げた箱の始末にうんざりすること、それに以前書いたように地元の書店を応援すべきだと思うのも一つの理由だ。 今日はモンテーニュのエセーを読みたくなったので、原則にした…

魂の錬金術ーエリック・ホッファー

7歳で失明し、15歳で奇跡的に視力を取り戻し読書にふけるようになる。18歳で天涯孤独の身になり、肉体労働者あるいは放浪者として一生の大半を過ごす。ホッファーの生涯はエピソードに富んでいて、それそれ自体が一つの物語のようだ(すばらしい自伝が…

ひとりよがりのものさし

なじみのギャラリーで今度、松濤美術館で開催される「古道具、その行き先」という展覧会を紹介された。 いわゆる李朝とか古伊万里でなく、様々な古道具を見立てで美を見つけるという先駆者の方だと聞いてがぜん興味がわき、店主の坂田さんの出されている本を…

奇鈔百圓と二つのコイン

江戸時代、天明六年(1786年)初出の奇鈔百圓という古銭書。 地唄の作曲家で古銭研究家である河邨羽積(かわむらはづみ)が著した。 中身は今でいうコインカタログで多くの古銭の拓本が並んでいる。面白いのは外国コインがいくつか紹介されていることでモゴ…