千波万波(Echinofossulocactus multicostatus)
美しいサボテンといえばこの株だ。
たくさん稜がでるという意味のムルチコスタータだが、千波万波(せんぱばんぱ)という和名で呼びたい。
エキノフォスロカクタスの中でも抜群に稜が多いこのサボテンはまさに寄せては返す波のように複雑な表面をしている。刺座の周りを小さな白い刺が取り巻き、そこから細く繊細な刺が突き出ている。垂直方面に伸びる稜に八方に伸びる刺が重なり、幾何学的な線を構成して目を飽きさせない。
サボテンの形状は厳しい環境で生き延びるための生存戦略の結果だ。この綾も空冷エンジンのフィンのように冷却効果を狙ったものかもしれない。人里離れた荒地でひっそりと進化を続け、それがこのような美しい姿に結実するという事実に感動を覚える。
園芸は、日々の営みが形を作るということを思い出させてくれる。毎日観察し、少しだけ手間をかけることで日照不足で徒長したり、虫害にさらされるのを避けることができる。この千波万波も誰かが手間をかけてこの姿を保ち、今は私がそれを引き継いでいるのだ。
学名 Echinofossulocactus multicostatus f.elegans
学名 エキノフォスロカクタス・ムルチコスタツス・エレガンス
和名 千波万波
サボテン科 Cactaceae
原産地 メキシコ