代官山日乗

自覚さえすればどんな生活にだって深い意味が出来る。

烏羽玉の(Lophophola williamsii)

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烏羽玉は黒や闇にかかる枕詞だ。しかし、この刺がないぼやっとしたサボテンは全然黒くなく、白っぽい緑色をしている。たくさん子を吹く性質で気がつくと新しいのが出ていたりしてのんきに見えて意外に活力も旺盛だ。

 

察するに、このおどろおどろしい和名はこのサボテンに含まれるある物質の性質から来ていると思われる。サボテンは荒野で動物から身を守るために様々な工夫をこらす。刺を出す武闘派もいれば、リトープスのように石に擬態する知性派もいる。烏羽玉はさしづめ陰険派といった所で体内に毒を含み、刺し違えるという方法を採用した。

 

この毒はただの毒ではない。人間が飲めばありとあらゆる幻覚が見え、痛覚もなくなるという。アステカでは太陽神に生きた心臓を捧げるという儀式を繰り返していたが、生け贄はこのサボテンを食べていたので痛みを感じることがなかったそうだ。生け贄に選ばれるというのは大変な名誉で周りの祝福を受けながら本人も感激してその役目についたらしい。でも痛いのはやはり嫌だったんだろう。

 

中南米のインディアンはサボテンの性質に通じていて、走った後に食べると元気になるサボテン、気分をちょっとリフレッシュするサボテンなどたくさんの種類を使い分けていた。ドリンク剤みたいでちょっと面白い。

 

では自分も一つ試してみるか、というとそんなことはない。このサボテンは子を吹くわりに成長が遅く、なかなか大きくならない。幻覚を見るにはかなり大量に接種する必要があるが、何年もかけて育て上げたサボテンを食べるなんてとんでもない!

 

 

学名 Lophophola williamsii  f .COULT.

学名 ロフォフォラ・ウィリアムジ

和名 烏羽玉

サボテン科 Cactaceae

原産地 メキシコ